大石義雄法学博士の改憲論
昭和37年に発行された大石義雄博士著『憲法改正の必要性-憲法改正試案要綱-』から博士の国家観に基づいた改憲論を紹介する。
大石博士は「無効論」はとらず、現行憲法96条のもとでの改正を主張されていた。
『第一章 祖国意識の回復と憲法改正の必要』より
戦後、憲法をまもれ、憲法を擁護せよという声はよくきくが、国家をまもれ、国家を尊重せよという声はあまりきかれないようである。もちろん、憲法といっても、それは国家の根本法にほかならない。だから、憲法をまもれ、憲法を尊重せよということは、根本的には、国家をまもらなければならないものであり、国家はこれを尊重しなければならないものだということである。疑いもなく、憲法あっての国家ではなく、国家あっての憲法であるというのが、ものの道理である。
これは当然のことなのだが、こういうことから始めなければならないほど国家に対する不信感が当事の国民にはあったということであろう。現在にもまだ「国家は暴力装置」であり人民と国家は敵対関係にあらねばならないというマルクス主義史観に囚われた民が存在しているようであるが。
しかし、国家といっても、国民の共同社会と別に存在するわけのものではない。国家といっても、つまりは、国民の共同社会にほかならない。日本国についていえば、それはつまり祖先から子孫につながる日本国民全体の共同社会形式にほかならない
この後、人々は共同社会を形成して生きていくものであり、市町村、家族、会社などの共同体に属しつつ国家の一員であることの自覚を促す。さらに「人類のすべてを含む国際社会は未だ国家のように統一ある組織を持たない」ので、結局は個人を保護しうる最終的な共同体とは国家であると説き、
国家の根本法である憲法は、まず国民の祖国意識を基礎としたものでなければならないことは当然のことである。しかるに、現憲法は連合国軍隊の占領下において、日本弱体化の目的で連合国側の与えた憲法原文にもとづいて制定されたものであるから、この憲法で日本人の祖国意識を回復せしめることは非常に困難である。日本が独立を回復した今日、まず現憲法の改正を必要とするゆえんである。
とする。
『第二章 憲法はなぜ改正されなければならないか』より
現行日本国憲法はなぜ改正されなければならないか。第一の理由は、現憲法は日本国の自主憲法ではないからである。憲法は国家の基本法であるということは、憲法は国家生活の在り方をきめる国の基本法であるということである。国家生活の在り方を決める者は、もちろんその国自身でなければならない。なぜか。国家は自主独立の国民団体であることをその本質としているからである。民族自決の原則は、この国家というものの本質的性格に由来するものである。
蓋し正論である。
どこの国でも、その国の生き方はその国自身が自由に定め得るものでなければならない。
この後、おそらくはポツダム宣言を受諾した結果であれば、それは日本民主化の為であり、それが民族自決の拒否を正当化しうるという反論を見越したように、次のように述べる。
ケネディ米国大統領も、機会ある毎に、この旨を強調し、ソ連が力ずくで他国の生き方に干渉することを非難している所以である。だから、日本占領において、占領軍側が、日本国の生き方を変えさせるために、憲法まで変えさせたことは、民族自決の原則に反する。
しかし日本には占領軍以上に占領軍の政策をを正当化する日本人がいる。こういう日本人を腐乱バナナという。日本人のようで、一皮剥けば20世紀半ばの連合国の軍人の発想そのままなのである。
博士はこの押し付け憲法を批判し、「たとえ推しつけられたものであっても中身が大事中身さえよければそれでよいのだ」と主張する輩には
憲法は中身さえよければ制定過程はどうでもよいということは、憲法は日本自身でなく外国で制定してもよいということである。このことは、国家支配は中身さえよければ外国支配でもかまわないということである。これはまったく亡国思想である。憲法はどうしても、日本国自身の自由な意思で制定した自主憲法でなければならない所以である。
と痛撃を加える。
『第三章 日本国憲法はどうしてできたか』
この章では憲法調査会の調査内容に触れ、制定過程では自由な審議があったという護憲派のデマを叱り、議会における自由な審議といっても、
それは占領軍の最高司令部がはめた厳重なわくの中の自由のことである。これをしも自由というならば、刑務所の中の囚人も自由であるといわなければならない。けだし、囚人も刑務所の中の自由が全然ないわけではないからである。けれども、刑務所の中の自由は、普通これを自由とはいわないであろう。
「まったく自由がなかったわけではない」などという亡国思想をバッサリだ。
他にも現行憲法は日本弱体化を狙ったものであるから無政府主義者を助長させるという問題点などを指摘している。憂国の士必読の書。
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